高校時代、友人Tが、「俺は毎日寝ずに勉強している」と言っていた。
なぜ寝なくても平気なのかと訊いたら、こう答えてきた。
「忍者は右脳と左脳を交互に眠らせているから、ずっとおきていることができるんだよ、やっさ〜ん」
やっさんというのは僕のあだ名で、ijimeyadeの「ya」に由来している。
忍者はたとえそうであっても、彼がそれを実践できるとは思えなかったけれど、黙っておいた。
しかし、その方法をとると、あるときは空間把握力がなくなるし、あるときは文字認識ができなくなるから、一生地図が読めないんじゃないかと思った。
忍者は図面を読んで建物の構造を瞬時に理解しなければならないのに。
いろいろと反論してみると、彼はこう答えた。
「これは講談社ブルーバックスに載ってたんだよ。ちゃんと読書しろよ」
当時僕はあまり本を読まなかったので、そのレーベルの本がとても学術的ですばらしいのだと妄信していた。だから、読むのを避けていた。
しかし、そのレーベルが「トンデモ本」の宝庫だということを、大学3年になってから知った。
詳しくは、「大槻ケンヂ」のエッセイ集を適当に読んでみれば、そのトンデモぶりが解説されています。ちなみに大槻さんは「トンデモ本」の研究家でもあります。
僕も無作為にそのレーベルの本を読んでみた。
野球に関する本だった。
要約すると、プロ野球の「変化球」というのは、実際にはほとんど曲がっていなくて、「ピッチングフォーム」による打者の「目の錯覚」なのだそうです。
すばらしい理論であった。

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