語れ、叫べ、我らが無敵。勝利と正義の座談会

ijimeyade2004-10-01

研究室で『マルドゥック・スクランブル』(冲方丁)の第一巻を読んだら午後2時になった。
うーむ。外国の小説を読んでるみたい。どうも比喩が多くて分かりづらいというか、話の流れがつかみにくいというか。
まあ、次の巻に期待。うわさに名高いカジノシーンがあるので。
午後2時の時点ですでに研究室にいるのに飽きたので、M田くんにメールをして、一緒に打ちっぱなしに行くことにした。
いかにして権力機構を獲得するかについて座談会をしたところ、「接待ゴルフ」、「接待麻雀」、「赤坂料亭」、「官僚用語」が重要なファクターだと判明。
次に東京に行くときは、やぐっちゃんもまぜて「赤坂料亭」に行くことにした。
麻雀はできないから、早く覚えないと。
などと二人で夢を語っていると、もはや夢破れて今はもう窓際族、いじけて平日の午後3時に会社をさぼってゴルフなどに来ているという風情のおっさんに、注意された。
うるさいから黙っていてくれ、と。
どうして怒られたのかを二人でブレーンストーミングしてみると、あのおっさんは前途洋洋たる若者を見て妬んでいるのだな、という結論が得られた。
僕らには夢がある。このジョルノ・ジョバーナ(ジョジョ)には夢がある。
しかし今日は全くインパクトしなかった。しゃべりながらゴルフはやるもんじゃあない。
原付で学校方面に引き返すと、M田くんが「早いけど夕飯を食べる」と言うので、工学部生協に行った。
そこにおいて、再び勝利への座談会が行われた。
将来についてK村K介くんが迷っている、という話を僕がしたところ、「じゃあ彼もわたしたちの仲間に入れよう」とM田くんがはりきって、K村君に電話をかけた。
K村くんが電話に出て、M田くんが「勝利への計画」について大声で語り始めた。
生協の学生たちが嫌な視線をこちらに送っていた。
突如、M田くんが焦りだして、僕に電話をかわるように催促した。
電話に出てみると、相手はK村K介くんではなくて、K村T樹くんだった。
終始、意味がわからないという風情で、T樹くんは笑っていた。
そのとき、僕の電話にメールが届いた。
友人Mからだった。
第一志望のS研究所に落ちた、という内容だった。
それを見て驚いた。僕もその研究室を第一志望にして、友人Mとはずっと一緒に大学院試験の勉強をしていたのだった。
僕にはそんな連絡は来ていない。ということは、僕がそこを希望したことによって、彼の分の席を一つ、奪ってしまったということだった。
これはまずかった。彼との関係がぎくしゃくするのみならず、僕は彼がいるからその研究室を志望したのだった。
それなのに、彼がいなかったら、僕は何のためにその研究室に行くと言うのだろうか。
絶望の淵に立たされながら、再び僕は自分の研究室に戻った。
すると、同級生らが、神妙な面持ちで、「紙が来てた」と僕に「希望研究室に落ちた者へ」という紙を渡した。
僕も落ちていた。
よかった。無駄な心配をしなくて済む。というか、彼が落ちていたら僕だって落ちているに決まっているのだった。それ以前に、僕は試験を受ける前からその研究室には成績的にいけないだろうというのは自覚していて、本当は別のN研究室を志望していたのだけれど、同じ研究室の友達が「N研究室なら別に第一志望にしなくてもいけるでしょ、人気ないし」と言うから、友人Mのいる研究室をふざけて第一志望にしただけであって、落ちているのは結果がわかる前から僕が一番よく分かっている。だから、別に落ちたって悔やんだりはしないのだけれども、どうしてお前、僕じゃなくて同じ研究室のお前、お前が神妙な面持ちになってんだよ。馬鹿じゃねえの。大体、お前、お前が「N研究室なら別に〜」というせりふを言ったんだろうが。だから僕が落ちることくらいお前だって分かっているんであって、何でいまさら神妙になるの? 神妙主義? 勝手に盛り下がりやがって。こっちまで盛り下がるじゃねえかよ馬鹿。
と、だんだん腹が立ったので、研究室にある『沈黙の艦隊』を堂々と全巻盗んで、そのあと落ちたものどうし、文系食堂で友人Mと早めの夕食にした。
彼との話で分かったことは、「本や映画やゲームに興じているやつは社会の負け組であって、モーニング娘。を起点に様々な人的ネットワークをはれる者こそが勝ち組である」ということだった。