ブラックジャック

通常ブラックジャックというのは、10点札とエースの組み合わせだけを言う。
3枚以上で21点を作っても、それはブラックジャックとはいわず、配当も1.5倍にはならない。
ディーラーのオープンカードがエースか10点札だったら、プレイヤーが行動する前にディーラーのホールカードをオープンしなければならない。ブラックジャックだった場合、いかにプレーヤーががんばっても、それに対抗するだけの点数を得ることはできないから。
というのが一般的なルールだろうけれど、『マルドゥック・スクランブル』の場合では、21点ならば全部ブラックジャックになるようだった。
しかしすごい。
第三巻の220ページくらいまで読んだが、延々とブラックジャックというのがいい。
頭の中がカードだらけ。
本文を読む前に、あとがきを先に読んでしまったから、作者がどういう心境でこれを書いたのかが分かっていた。
だから、バロットが相手の心理を読みながら成長していく様子を読んで、だんだん泣けてきた。
研究室で読んでいたので、一人で泣いていると変な人だと思われそうだから、まだ午後2時半だというのに、早々に帰宅した。
研究室滞在時間2時間。
うち、1時間は明日のゼミのパワーポイントを作っていたからいいだろう。
そろそろ怒られるかな。
早く怒られたい。あのぬるい研究室の助手が本気で怒るところを見てみたい。
明日のゼミは適当にやるぞ。
それでも怒られなかったら、来週はもっと適当にやってやる。
どうせ今年でこの研究室はなくなるんだ。
どう振舞おうが、絶対に卒業はできるはずだし。
早く怒ってくれ僕を。この年になって、もう一度面と向かって怒られるという経験をしてみたくなった。僕をのけものにしてくれ。
その後、このまま帰宅してもやることがないと判断した僕は、ブックマーケットに行って『加治隆介の議』(弘兼憲史)をパラパラ立ち読みしていた。
取材協力者の欄に、宮城県知事の浅野史郎さんがいたのがうれしかった。