辞書男

ハサミ男 (講談社ノベルス)

ハサミ男 (講談社ノベルス)

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「ずいぶん余裕だね。もう本の内容完璧に理解したんだ。じゃあ今日のゼミはばっちりだね」
と、ゼミ直前にもかかわらず研究室で『ハサミ男』を読んでいた僕に、助手さんが嫌味っぽいことを言った。
余裕ですよ、まるで完璧に理解しているかのように振る舞い、あなたの目を欺くのは。と心の中で思っていた。本当は適当にしか準備してないけど。発表なんて、堂々とやってわかんないところなんか適当にこじつければ、どうとでもなるんです。
ゼミを速攻終わらせて、再び『ハサミ男』を読んでいたら、300ページくらいでおや? と思った。とうとう来たか、叙述トリックめ。どうせ最初からそういう落とし方だということは、いろんな噂で聞いていたから、用心してたんだよ。と思ったが、まんまと騙されたので僕はアホだった。しかし、おかしな表現が多々あったので、あとでFヤマに確認しようと思った。トリックもすごいだろうけど、洋楽や文学の引用がたくさんあって、その博識っぷりにも感動した。僕は現在洋楽を勉強中だからなおさら。
研究室ガイダンスという、まだ研究室が正式に決まっていないアホどものための、ハローワークみたいな集いに参加すると、友人Mことマサヤくんもいた。その後、二人とも正式に決定されて、安心したので、僕はマサヤくんの家に行った。
洋楽とかいただいて、CD借りて、あとは世界を広げた。マサヤくんは辞書みたいなもんなので、何でも教えてくれるから世界が広がる。一家に一台は欲しいものだ。しかしそうは問屋がおろさないので、みなさん、マサヤくんの家に行ったほうがいいですよ。
博識王では、Fヤマ氏とM田くんもすばらしいが、マサヤくんには到底勝てない。「あの人は何もんなの?」と、将来国家的に有望な薬剤師になることをもはや約束されたFヤマ氏も、彼を指して驚愕していたし。「大学に入ったら、とんでもないと思える友人を見つけよう」と、中谷彰宏も言っていたから、まあ僕の生き方は中谷さんも納得の人生だろう。誰ですか中谷彰宏って。
さて、大好きな我がアパートに帰ったことだし、パソコンを起動、メッセに登録しますか、と思った瞬間、担当氏から電話があって、50分くらい話しちまったよ。じっくり行くわ。焦らず。よかったよラジオで「いつくらいには出るんですか?」と訊かれたとき、「ろくなこと言うとまた自分の首をしめるので、なるべく早く、と言っておきます」とはぐらかしておいて。
当然、大場つぐみガモウひろし説が正しいかどうか訊けるような雰囲気じゃありませんでした。僕は役立たずです。
そのあとFヤマ氏に『ハサミ男』の疑問点を電話で訊いて、なんとなく納得して、すげえなこの著者、と感心した。こういうのを、「アンフェアぎりぎりの描写」というらしい。
さてと、飯食ってメッセやるか。