ハーバード流交渉術 NOと言わせない技術

今頃大学入試2次試験真っ最中の友人から、昨日の夜メールがあった。
「大変です。宿泊したホテルのテレビにアダルトチャンネル無料と書いてあるのに、なぜか見られません。フロントに文句をつけに行きたいのですが、恥ずかしくて行けません」
私はこのホテルに対して甚だ憤慨しました。
理由は以下の2点です。


1、アダルトチャンネルが見られないことが原因で試験に対する士気が下がるから。
2、書いてあることが実行されていないのは、不正競争防止法の虚偽表示に該当する可能性があり、消費者に過大な期待を与えることで他のホテルとの差別化を図ろうとする違法的行為だから。
3、アダルトチャンネル無料ということは、鑑賞料がすでに宿泊代に含まれていることを意味し、しかるべきサービスが受けられないのは重大な瑕疵であり、ホテル側乙は善意無過失の消費者甲に対して瑕疵担保責任を負う。




私は遺憾に思い、こういうメールを返しました。
「そのホテルの電話番号とあなたの部屋番号を今すぐ教えなさい。私が電話して交渉してあげます」



するとこういう返事が来ました。
「それはもっと恥ずかしいのでやめてください。かろうじて音だけは聴けるから、音だけ楽しむことにします」



私はこう返しました。
「いや、それはぼったくられてる恐れがある。M氏だったら今すぐ交渉に行くはず」



するとしばらくして、こう返ってきました。
「交渉に成功しました。どうやら、このホテルは受験生にはアダルトテレビを見せない決まりになっていたようなのですが、交渉の末、見られるようになりました。勇気を出して良かったです」


私は感動しました。
友人は、交渉の末、見事、規制観念を打ち破ったのです。
また、ここで注目したいのは、フロントの人の柔軟性だと思われます。
これまでは「受験生にはアダルトテレビを見せない」という制度で頑強だった規制を、消費者のニーズにこたえ、見事、改革したのです。
フロントの人には、これまでの歴史的重圧がかかってくるにもかかわらず、勇気をもって改革してくれました。
交渉には、人間ドラマがあるのだと確信しました。


決定版 ハーバード流“NO”と言わせない交渉術

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